T はじめに  
 ここ数年、子どもたちを巡るさまざまな問題が社会的な関心をよんでおり、その解決には、児童生徒などにたいする地域の教育力が必要であるとの認識が高まってきました。また、育児や青少年の教育の難しさが出産率の低下などにもある程度の影響を与えていると思え、「育てることが容易でない」時代に、それぞれの家庭がどのように「育てることの楽しさ」を見つけていくのかが大切になっています。

 一方、男女の平等の実現は生活のあらゆる面での男女共同参画が必要であり、この調査で対象としている、育児や子どもの教育に対する父親の関わり方がきわめて重要であることは間違いありません。しかし、このように社会的な関心事となり、家庭や地域での父親の果たすや役割が声高に叫ばれているほどには、父親を中心とする男性の側からの活動が見えていないのも実態です。  

 宮城県内では、ここ10年ほどの間に仙台市内を中心として活動が活発になった、いわゆる「おやじの会」は、既成の組織とは組織のあり方も活動の内容も異なるユニークな活動として、新聞・テレビをはじめとするマスコミで、お取り上げられ、その活動が学校や地域における父親の家庭教育参加に関して大きな役割を果たすことが期待されています。

 2003年度に仙台市教育委員会生涯学習課とお父さんたちのネットワークの共同調査(http://kreis.sakura.ne.jp/tochannel/hp/)により、幼稚園・小学校・中学校あわせて51グループが活動していることがわかりました。しかし、宮城県内では仙台市以外にも活動しているお父さんたちのグループがあり、これらの活動の状況を調査することが必要となりました。この報告では、仙台市も含めた宮城県全域の活動を分析する場合には、2003年度調査の仙台市内のデータを参照し、その比較も行いました。  
 
 このような新たなお父さんたちのグループの活動は、お父さんたちの会のネットワークが近隣県(山形県、福島県、秋田県)に、講演などで出かけた際に収集した情報ではあまり報告が無く、岩手県でも一部地域での活動うかがい知れるに過ぎません。この調査が明らかにする宮城県全域のお父さんたちのグループの活動の調査は重要な意味を持つのではないかとのとの期待を伺わせました。 この報告では、アンケートによる調査の結果を分析し、ある部分ではすでに発表された仙台市内の調査結果と比較検討することも含めて宮城県内のお父さんたちの会の活動を明らかにしております。